どんな動物だって、急には仲良くはなれません。新しいパートナーを迎え入れたら、時間をかけて焦らず少しずつ近づいていきましょう。
目次
難易度の低い方法から順に始めましょう
距離の縮め方にはその子の性格が大きく影響します。ただ、ハリネズミにもともと備わっている性質から考えて、次の3つ、難易度が低めの方法であればどの子にも実践できそうです。
飼い主の匂いの付いた衣類をケージに入れる(難易度 低)
これはよく聞くと思います。序盤、飼い主の匂いに安心してもらうために、お迎えしてからすぐにでも行いたいですね。1日身に付けてお洗濯をしていないシャツやハンカチなどがいいでしょう(とは言っても汚いものはNGですよ)。
ただ、ちょっと注意したいのが香水。ハリネズミは鼻がいいので、香水やアロマオイルの匂いは強すぎるようです。あくまで覚えてほしいのは飼い主の人間としての匂いですので、香水などがついていない衣類を使いましょう。
やさしく声をかけながらエサをケージに置く(難易度 低)
ハリネズミにとって、「エサをもらう」=「至福のイベント」です。このイベントが飼い主と結びついていることを理解してもらえれば、距離感は一気に縮まるはずです。飼い主としても、仲良くなる最大のチャンスと考えて、しっかり活用しましょう。
オススメの手順を紹介します。
この手順を続けることで、ハリネズミちゃんに「エサはこの人がくれるんだ」と知ってもらいましょう。ゆくゆくは「この人=至福をくれる人」になることを狙います。
少し話は逸れますが、1日1回エサを多めに与えるのと、3~4回などに分けて与えるのを比較すると、ハリネズミちゃんの活動時間(回し車やおもちゃで遊ぶなど、起きている時間)は分けて与えたほうが多い印象です。
1日1回多めの場合、食べてからすぐ寝てしまい、おなかが落ち着いたら起きて運動してうんちをして、また寝てしまうことも…。それに対して、少なめを回数与える場合は、食べてからすぐ運動するパターンが(あくまでハリんちの観測範囲で)増えます。医学的な裏付けはないものの、人間が「食べ過ぎてとりあえず寝る」(血糖値の急上昇で眠気発生?)みたいな状態に近いような気がして、少なめを回数与えるようにしています。
エサを手から与える(難易度 中)
ここからは、スキンシップが伴いますので、うまく行えるかどうかがひとつの分岐点になるような気がします。
手からエサを与える場合、飼ってるハリネズミちゃんのいちばん好きなエサを選ぶのが安全だと思います。与えるエサは、指先ではなく手の平に乗せて、ゆっくり手を差し出すようにハリネズミちゃんに近づけます。そのエサが好きすぎて、気付いたら飼い主の手に両前脚が乗ってしまっていた、ぐらいの反応を引き出しましょう。
もしミルワームを食べる子なら、毎日与えているエサはエサ入れで与えて、ミルワームを手で与えるなど、使い分けるといいと思います。というのも、ミルワームは量を与えるものではないので、手に1匹だけ乗せて1日数回与えるというふうに、しつけに使うのがちょうどいいのです。
ここまでをクリアできたら、あとはその子の性格次第だと思います。抱っこさせてくれたり、手の中で寝てくれたり…慣れた子であれば!
人に慣れた子と距離を縮めるステップの例
ここでは
元気くん(タイで生まれ、4カ月頃に兄弟6匹と共に来日)
- 物怖じしない
- 人間に対しても敵意などがない
もし途中でイヤがるような反応を示したら(元気くんの場合はありませんでしたが)、急ぎすぎたのかもしれませんので、無理せず難易度の低い方法に戻ってやり直しましょう。ここで一歩引かず、イヤがることを続けてしまうと、心を固く閉ざしてしまう原因になりますので注意しましょう。
つまり、ケージ横、エサを準備する場所に立ち、エサのにおいや音を出していない状態で手を動かしているだけで「エサ!」と気付くようで、ハウスから出てきてアピールするのです。ただケージの前を通りすぎるだけではこのような反応は見せないので、意外と飼い主のことを観察してくれている…と思っています。
我が子は家に来てから3週間経つのですが今日私の手に興味を示し自分から乗ってきてくれました。しかし指を噛まれ思わず驚くと手の上で丸まってしまい針が痛くて反射的にゲージの中に転がしてしまいました。また手に乗ってくれるかのか心配です,今後どのように慣らしていくのが良いかアドバイスお願いします。
犬猫との付き合い方での知見ですと、噛まれた時を含め、やってほしくないことをやられたときに人間が特別な反応を示すと、犬猫は「この行動には効果がある」と思ってしまい、それを繰り返すということで、やめてほしいことをやられたら徹底的に無視・無反応というのがいいそうです。
噛まれてしまうとなかなかそうもいかないと思いますが、なるべく平気なふりをするよう努めてみてください。
そして、なるべく手の皮をピンと張るようにする(深く噛まれるのを防止できます)、噛みそうなモーションを察知したら少し手を引くなど、飼い主側のテクニックも磨いていけば気にならなくなると思います。
ケージの中に転がしてしまったことも同じで、何もしてないというふうに平然とした態度でいることをお勧めします。逆によくないのは、抱き上げて撫でて謝るなどの行動です。人間の自己満足でしかなく、ハリネズミとしては嫌なことを連続してされたという記憶になります。
転がしてしまったことが気になるのであれば、平然とした態度で、そっと好きなおやつを近くに置いて、少し離れて見守ってください。警戒を解いておやつを食べたらだいたい忘れてくれると思います。