“ハリネズミ、痛い?”さわり方ひとつで痛くない!

チクチク針が特徴のハリネズミ、さわったことのない方からよく「痛くないの?」と聞かれます。結論から言うと「コツさえつかめば8割方痛くない」なのですが、この機会にその方法をまとめてみました。ハリネズミのことをあまり知らない方にぜひ読んでみてほしいと思います。

基礎知識

おなかはやわらかい

まずは本当に基本的なお話から…。

ハリネズミは頭頂~背中~おしりまで固いトゲ状の毛(=ハリ)に覆われていますが、のど~胸~おなかにかけては、ふさふさのやわらかい毛です。

ハリネズミのおなかはやわらかい毛でさわり心地バツグン

モデルはさくらちゃん。ちょっとだけおなかを見せてもらいました。モチモチのフッサフサで触り心地バツグンです

なので、抱っこするときはおなかに手を差し入れて持ち上げたり、手のひらに乗せたりするというのが基本的な接し方です。

丸まられると痛い

「なるほど! どれどれ、ではおなかから持ち上げてみよう」ということで手を近づけても、ハリネズミが警戒して丸まってしまうかもしれません

ハリネズミは丸まることで針が立ち、さわると痛い

姫ちゃんは眠るときにたまにこのように丸まります(怒らせたわけではありません)。皮膚が伸びるとハリが立つ仕組みで、どの方向にもハリがピンと立っているのが確認できると思います。この状態で抱き上げようとすると手に刺さって痛いです

そうやってやわらかいおなかを隠すことで自分を守るのですが、こうなると、どこからさわっても痛いです。完全に丸まったハリネズミには、ほとんど死角がなく、触れれば剣山のように手に刺さってきます。

なので、丸まられたら、顔を出してくれるように何もせず静かに待つ、あるいはエサのにおいをかがせて丸まりを解かせるなど(笑)して、立ったハリを寝かせるように仕向けます。

さわってみよう

怖がらせない

ということで、さわるためには丸まられないようにする、つまり怖がらせないことが大切です。「パン!」「バン!」「ドン!」などの破裂音はニガテなので、例えば大きく手を叩きながらハリネズミを呼んだりするのは好ましくありません。
ハリネズミは破裂音に驚くので手を叩いたりしない

また、高い音もあまり好きではないようなので、例えば子どもがはしゃいで高い声で叫んだりするのもよくないでしょう。同じ理由でビニール袋のカサカサ音も避けましょう
ハリネズミはビニールのガサガサ音も嫌がります

それと、ハリネズミの見えない場所、特に下から上に突然現れるととても怖がります。捕食動物に飛びかかられる感覚なのでしょうか。
ハリネズミの見えないところから突然現れるのもよくない

これらを避けつつ警戒を解くには、ハリネズミの見える場所から、やさしく声をかけながら近づく、というのがいいと思います。

手を近づけながら声をかけるなど「手に意識を集中させない」

ハリネズミにさわるためには手を近づけなければいけませんが、それだけで警戒する子もいます。そこで、さわる場合には、手以外に意識を向けてもらうようにするのがいいです。
ひとつは、やさしく声をかけながら手を近づけて、音(声)に注意を向けることです。そもそもビックリ屋さんのハリネズミなので、声をかけながら近づくのは、いきなりさわられるよりもビックリが減ります。

もうひとつは、やはり食べ物、エサで注意を引く方法です。人間の方向からフードの匂い、おやつの匂いがすると、警戒しがちな子でも、じっとこちらを見つめてきたり、行こか戻ろか迷っているような仕草をしたりします。

ただし、警戒している最中は強引に手を近づけないようにします。迷って迷って、でもガマンできなくて出てきた、というところで手から餌を与えることを繰り返していくと、警戒しなくなることが多いです。
粘り強く、自分から人間に寄って来る習慣を身に着けてもらうようにガンバりましょう。

抱き上げ方その1:ハリネズミの左右から

抱き上げ方には2種類あります。基本は左右の下わき腹に両手を差し入れて、おなかから持ち上げる方法です。この抱き上げ方がいちばんいいと思います。
ハリネズミの持ち方・抱き上げ方。横から手を差し入れておなかを持ち上げる

ハリネズミの抱き方。自分の体に引き寄せてくっつけて抱く

抱き上げ方その2:ハリネズミの前後から

左右から持ち上げるのがいいと書きましたが、状況的に難しい場合があります。ケージが少し高いところにあったり、隅にいたりする場合です。その場合は、前後から抱き上げるというパターンもあります。まずはおしり側に片手を滑り込ませて、もう片手を首下に差し入れて持ち上げます。
ハリネズミの抱き上げ方。前後から抱く場合はおしりを先に持つ

ハリネズミの抱き上げ方。持ち上げたら両手で足場をつくる
以上4枚、モデルはハリネズミバーのキャストでもあるコロちゃんです。

先におしり側を手で持ち上げてから正面を持ち上げる、この順序が大切です。こうすることで、ハリネズミが後ずさりして逃げられなくなります。先に頭側を抱こうとすると、後ろずさりで逃げてしまいます。
少し強引なやり方に感じるかもしれませんが、ハリんちの体感として、臆病な子の場合、逃げれば逃げるだけ興奮して、手が付けられなくなってしまいます
そのため、基本的には一度でさっと抱き上げる。これがコツだと思っています。

毛の流れに沿ってさわる

抱き上げたあとにどうさわったら痛くないか。これは単純です。ハリネズミのハリは、見ての通り頭からおしりに向かって横に生えているので、毛の流れに沿ってさわればOKです。

ただ、さわる場所については注意が必要です。一般的に、おしり背中のハリをさわってみて、嫌がらなければわき腹のハリ、そして最後にのハリ。この順番で、毛の流れに沿ってなでてみるといいと思います。
なお、最後の頭のハリは、その子の性格によって嫌がる・嫌がらないが五分五分といったところですので、嫌がるようでしたらおしりや背中だけでガマンしてください。

その子の性格にもよりますが、このようにしていけば、少なくとも抱き上げることは難しくないはず。最初は毛をなでさせてくれなくても、餌やりなどで信頼関係をコツコツ積み上げることで改善した例もあります。長い目で見て、あきらめずに接してみてください。

さわってみよう:臆病な子での実践動画




ここでは、ハリんちメンバーの中でも臆病な気質のひとり、夏ちゃんを例に痛くないさわり方を実践してみました。

夏ちゃんは臆病で神経質タイプ

まず、夏ちゃんの性格などについて説明しておきます。

夏ちゃんは、生後3カ月すぎぐらいから、興奮してケージ内をヒステリックに走り回ったりすることが度々増え、臆病な気質が明らかになってきました。
人間が素早く動くのを見たり、大きな音を聞いたりするとひどくびっくりして飛び上がり、猛スピードで隠れます。また、知らない人はもちろん、飼い主にも簡単に心を許してくれないところがあります(ハリネズミとしてはいたって普通とも言えます)。

おやつを使うことでスキンシップが可能に

とはいえ、姉妹(カルビちゃん、コロちゃん)と一緒に生後2カ月半頃からミルワームをおやつに与えていたことが幸いしたのか、ていねいに接することを1カ月ほど繰り返した結果、おやつを使えば落ち着いてスキンシップを取らせてくれるようになりました。

MEMO
さらっと「ていねいに接することを1カ月ほど繰り返した結果」と書きましたが、結果が出るかどうかわからないため、実はこれがいちばん辛い部分だったりします。
この動画でやっていることは、やさしく声をかけながらおやつに注意を向けてもらっているうちに抱き上げて(この場合は先に紹介した「抱き上げ方2:前後から」)、おしりのハリを軽くなでる。これだけですが、声もかけず、おやつも用意せずに抱き上げようとすると、「シューシュー」と言って丸まってしまったり、興奮してしまったりするので、かえってその子がかわいそうです。
おやつを食べているところを抱き上げた場合、ケージに戻した後も落ち着いていてくれるので、(ハリんちの観測範囲内では)このやり方をオススメできます。

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