ハリネズミに楽しい毎日を送ってほしい!これはハリ飼いさん共通の願いだと思います。それにはやっぱり本能を刺激する遊びを取り入れるのが一番です。いわゆる「環境エンリッチメント」というものです。ここではミルワームを使った探索遊びを2種類紹介します。
目次
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ハリネズミの本能を刺激するには?
野生のヨツユビハリネズミがどんな生活を送っているかは未解明の部分も多いですが、夜間に昆虫類を探して歩き回っていることは知られています。人と暮らしているハリネズミはといえば、夜間は部屋んぽでチョロチョロしたり、回し車で走ったりしますが、こうした行動はきっと、野生でのエサ探しの代替行為なのでしょう。
代替行為じゃなくて、ホントのエサ探しができたほうがハリちゃんは喜ぶはず!
ということで、やってみましょう。
PART1 部屋んぽエリアでミル投げ
まずは、部屋んぽエリアさえあればすごく簡単にできる遊びから。部屋んぽエリアの数カ所に乾燥ミルワームを投げて、それを探してもらうだけです。
飼育書では似た方法として、「布の下などに隠す」という遊びが紹介されています。でも実際やってみると、飼われていて野生的な嗅覚が衰えているのかどうか、全然気付いてくれなかったりしたのです…。そこで、音とにおいですぐ感づいてもらえそうな、上からポトポトと投げ入れる方法にしました。
バー店舗では、姫ちゃん、咲ちゃん、いちごちゃんが一緒に広いスペースで暮らしています。そのスペースをフルで使うように、なるべくバラバラに、1回につき合計6箇所ぐらい投げ入れています。
★マークがよく投げ入れる場所です
これを初めてやったとき、遊びを理解していない様子だったので、飼育員が指先でトントンして教えたり、近くに落としたりを何回か繰り返したところ、すぐに覚えてくれました。
ハリネズミの真の姿を垣間見る感じ
一度覚えたら、飼育員が側にいるときにはセンサーが働くようになります。最初に見つけた子が「サクサク」と食べている音を他の子が聞きつけて急いで駆け寄り、探索隊が活動を開始したり。ミルワームが落ちる「ポトっ」という音を聞きつけて辺りを探ったり。何よりも高速スンスンでにおいを探る回数が半端なく増えて、かぎながらすばやく動き回り、見つけたら即サクサク。この遊びで探索しているハリネズミを見ていると、いかに「エサ探し」が本能的な行動かがわかります。
ミルワームをゲットした場所も記憶している様子です。運動目的でもあるので、ホイールの上やハウスの上など、少し高低差のある場所をあえて選んで投げ入れていますが、3名とも、ホイールの上やハウスの上など、過去によく見つけた場所を念入りに巡回します。
また、ミルワームは飼育員が持っていることを知っています。そのため、何度か巡回しても見つからなかったり、飼育員がミルワームを投げ入れる素振りをしていないと、近くに来てこちらを見上げたりします。飼育員のアクション待ちタイムです。
この3名、夕方になると、「あれ、やる?」みたいな表情で見上げてソワソワし始めたりするようにもなりました。
まだやったことがないハリ飼いさん、ぜひやってみてください。
PART2 ミルボール
ふたつめはちょっとした工作ネタ。穴を開けたガチャガチャのカプセルにミルワームを入れて、ハリネズミは転がしてエサを取り出す、名付けて「ミルボール」です。
材料はガチャガチャのカプセルだけですが、うちでは工作がしやすい大きめのものを使っています。カプセル径は7cmで、これは400~500円と高めのガチャガチャで使われているものです。うちでは、店内の装飾小物がほしかったので実際お金をつぎ込みましたが、量販店のガチャガチャコーナーには空カプセルを捨てるかごがあったりしますから、そこからいただいてもいいのではないでしょうか。
まずは完成形を紹介
完成したミルボールがこちらです。単純な構造ではあるものの、何度か試行錯誤をした現状です。まず、ミルワームが出入りできる大きな穴は、大きいとあっという間にミルワームが出てきてしまうので、1cm径ぐらいで十分でした。そして小さい空気穴は各3~5mm径ぐらいですが、数が少ないとにおいが漏れにくく、中にミルワームが入っていることに気付いてくれないので、多めに開けます。
工具紹介
工作に使用した道具は大きく3つで、電動ドリルと超音波カッターはけっこう高価です。もし手元にない場合は、DIYやプラモデルが趣味のお友だちや、工務店にお勤めの方などから貸してもらいましょう。
電動ドリル(マルチツール)+ドリルビット(1.5mm径、3mm径、5mm径)
穴を開けるのに使います。うちで使っているマルチツールはこちらの商品です。
超音波カッター
穴を広げながらカットするのに使います。少し高価ですが、アクリルやプラスチックが簡単に切れる超便利アイテムです。うちで使っているのはこちらの商品です。
スポンジ研磨材または紙やすり(#120~#180程度)
開けた穴にできたバリを取るのに使います。うちで使っているのはこちらの商品です。
穴を開けて広げる
まずはランダムにたくさん穴を開けていきます。だいたいどんなカプセルでも、ドリルでいきなり大きな穴を空けようとすると、バキッと割れてしまいます。そこで最初は1.5mm径の小さい下穴を開けて、その上から3mm径のビットで穴を広げて、さらに5mm径のビットで穴を広げます。
次に、ミルワームを出し入れする穴を2箇所決めて、そこは5mm径の穴を2つ並べて開けます。この2つの穴を超音波カッターで切って繋げて、円を描くように穴を広げながらカットしていきます。
ちなみに、動画ではスルスルと簡単に切れているように見えますが、超音波カッター以外の道具でこのようにきれいにプラスチックを切るのはなかなか難しいと思います。
バリを取る
特に電動ドリルで開けた穴には、プラのかす(バリ)がたくさんくっつきます。そこで、粗目のスポンジ研磨材や紙やすりを机に置いて、カプセルを手に持ってこすり、バリを取ります。ちょっと表面がざらっとしてしまいますので、気になる場合は#800~#1200といったさらに目の細かい研磨材で仕上げてください。
うちでは特に気にならないので、粗目だけでバリを取り、完成としました。
遊び方を学んでもらう
完成後、このおもちゃにミルワームが入っていること、転がすと出てくることを覚えてもらう必要があります。乾燥ミルワームを3~6個入れて目の前に置いて、前脚で転がしたり、鼻先でつついたりし始めたら成功です。
それと、遊び場にはこのカプセル以外の障害物を置かないほうがよさそうです。障害物があるとそこにカプセルが挟まって、そこで次々取り出されてしまい、運動量を稼ぐ前に全部食べられてしまいます。
やってみてわかったのですが、このおもちゃは性に合う子、合わない子がいます。3名の中では、とても好き=いちごちゃん、まあまあ好き=咲ちゃん、まったく興味なし=姫ちゃんと分かれました。姫ちゃんは中にミルワームが入っていることは気付いている様子ですが、出し方を考えるのが面倒なのか、動かしたりしませんでした。
合う合わないはやってみないとわかりません。でも、ハマる場合は本能的欲求が満たされるので、つくれそうな方はぜひ一度やってみてください。
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