多頭飼い、同居できる子たちの性格

ハリネズミの多頭飼い、同居できる子たちの性格

ハリネズミは野生でも群れをつくらず、単独で生活する動物です。そのため、複数頭を一緒のスペースで飼育することは推奨されていません。
その一方で、メス同士だけの話ですが、家族での同居や血縁関係のない子たちの同居の例はそこそこあります。
今回は、その一例として、ハリんち店舗内で同居している、年齢が1カ月違いの咲ちゃん(1歳9カ月)といちごちゃん(1歳10カ月)の性格を紹介します。

帽子制作:Fuyukoさん

ハリネズミたちの複数同居はOK?

ハリネズミの咲ちゃんといちごちゃん
前述の通り、ハリネズミは単独で生活する動物で、複数頭の同一スペースでの飼育は、月齢約2カ月以前の幼少期を除いて推奨されていません。
実際、オスとメスの同居は論外として、オスとオスの同居はかなり難しいですし、メスとメスでもお互いにストレスになったり、争ったりすることもあります。

それでも、SNSで家族が同居している様子やハリカフェ的なお店で複数の子が一緒にいる様子を見たことがある方も多いでしょう。同居の例はそれほど珍しくはないのです。

そこでその一例として、ハリネズミバー ハリんち店舗内で同居する2名の性格、同居のメリット、同居の試し方について紹介します。

ちなみに、2021年末現在、咲ちゃんといちごちゃんに加えて、1歳半ほど年上のベテランママ、姫ちゃんも同居しています。

YouTube版があります

咲ちゃんといちごちゃんが同居するスペースを掃除しながら、咲といちごの性格について解説した動画を公開中です。内容はこの記事のダイジェストになっています。


咲ちゃん:甘えん坊で平和主義

ハリネズミの咲ちゃん
咲ちゃんは、甘えん坊で平和主義者な子です。子どもの頃はママにべったりで、ママから強めに「親離れしなさい!」と促されてやっと親離れしました。人間にも甘え上手で、近くにいると駆け寄って周りをウロウロしたり、上に乗ってアピールしたり。人間の期待に応えてくれます。

平和主義者な部分としては、まず、咲ちゃんは誰かに頭突きをしたりかみついたりしたことがありません。咲の場合、もめそうになったら自分が一歩下がり、けしかけられても乗ったりはせずやり過ごします。いちごちゃんとふたり一緒に暮らせているのは、咲のこの性格によるところが大きいと思います。

いちごちゃん:やや臆病で神経質

ハリネズミのいちごちゃん
いちごちゃんの性格はどちらかと言うと臆病寄りで神経質です。例として、ハウスから離れて人間の近くに来ているとき、急に不安になるのでしょう、走ってハウスに避難します。一度避難したら安心するのか、また出てくるんですよね。

抱っこも好きじゃなくて、抱かれている間はガマンしていても、解放したらハウスに走って帰ります。

ハリんちではあまり抱っこはしません
ハリんちでは、ハリネズミにとって自然なことではないという考えであまり積極的に抱っこはしません。抱っこが好きじゃないのはそれが理由でもありますが、気にしない子の場合、抱っこから解放されたあともその場に留まったり、リラックスして動き回ります。
別の子と一緒にいることにはだいぶ慣れているのですが、知らないにおいがする子や目の前に来て邪魔になった子にはガブッといきます。かんだまま激しく揺さぶったりまではしないのですが、まあまあ好戦的です。

咲もたまに噛まれます。咲はとにかくチョロチョロ屋さんなので、いちごが目の前でそれをやられて癪に障ったときにガブッといくことがあるのです。
咲はその場では痛がって「ギャー」と言ったりしますが、引きずりません。いちごもしつこく詰めるわけではなく、一瞬で終わり、すぐ共同生活に戻ります。

同居で性格が補正されている

いちごちゃんは臆病寄りな子ですが、かなりプラスに補正されています。咲ちゃんがいるおかげで、お互いがいいライバル関係になっているからです。おやつやごはんを取られたくないという競争心が刺激されて、前に前に出てきます。幸い、相手に噛み付いて追い払うような行動は取らないので、いい刺激になっていると感じています。
実際、先を越されまいと小走りで近くに来て待機するのは、いちごのほうだったりします。

先ほどちらっとお話ししましたが、いちごは突然ハウスに避難してまた走って戻ってきます。これを見ていると、人間が怖いわけではなくて、本能的に屋根がない場所に不安を感じているようです。持って生まれた防御反応なのだろうなと思うので、特に臆病なハリネズミと暮らしている方には、人間を嫌いだからそういう反応をしているわけじゃないと考えてほしいと思います。

ハリネズミの考えを理解するのは難しい

ハリネズミの咲ちゃんといちごちゃん
ハリネズミは基本的に感情を読み取りにくい動物です。長く一緒に暮らしてきてやっと、目から感情を読み取れることも増えましたが、わかりにくいことは確かです。人間の勝手な解釈でハリネズミを振り回すことはあってはならないと思いますが、ハリネズミに気を使いすぎて怖々接するのもまたよくないでしょう。中道を行く必要があり、そこがとても難しいといつも思います。

知らない人への反応で飼い主への気持ちを知る
人間がいかに思い込みをしているかを知るきっかけの定番は、友達が家に遊びに来てハリちゃんの近くに寄ったところ、飼い主に対するよりもはるかに強い警戒反応を示すのを見たときです。裏を返せば、飼い主さんは比較的安心できる存在だと思っている、ということ。そう思ってたのか!とびっくりした経験があるハリ飼いさんは多いと思います。

同居できるかどうかのテスト方法

ハリネズミの咲ちゃんといちごちゃん
複数のハリネズミが一緒に暮らせるかどうかは本当にケースバイケースです。
もし多頭飼いしていて、同居させてみたいと考えている方がこの記事を読んでくださっているなら、次の方法を試してみてほしいと思います。

1:お互いのにおいを認識してもらう

同居できるかどうかを決める最大の環境条件は、相手のにおいが「気にならない」ものかどうかです。そのため、お互いのにおいに慣れる期間をつくります。
まず、くぐり抜けられない程度のすき間ができるペットフェンスで仕切ってお隣さん同士で暮らしてもらいます。その環境で一週間程度、ご近所さんとして様子を見ると自然に相手のにおいに慣れると思います。
次に、お互いのすみかを入れ替えます。つまり、Aちゃんが部屋Aに、Bちゃんが部屋Bにいるなら、Aちゃんを部屋Bに、Bちゃんを部屋Aに、床材やハウスなどに相手のにおいがある状態で住ませます。
これでひとまずにおいに慣れる工程は完了ですが、もしこの時点でハリちゃんが居心地が悪そうにしているなら、同居作戦は休止してまた折を見て試してください。

2:人の目の前で一緒に会わせてみる

においに慣れてもらったら、飼い主立ち会いの下、実際に会ってもらいます。最初はお互いスンスンすると思います。その後、お互いに興味がないというような反応をして離れてくれれば、同居できる可能性があると思います。
スンスンから足元にかみついたり、頭突きをしたりした場合は、攻撃主のほうは同居に向いていない可能性が高いです。

姉妹なのにダメだったり、咲といちごのように月齢が近い親戚同士でうまくいったり、いろいろです。最終的には性格と相性、タイミングですので、「単独生活が基本」を念頭に、あわよくばという気持ちで試してみてください。

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