人間も動物もビタミンは大事。ワンニャンの場合はカロリーベースで人間よりもビタミンを多く必要とする(AAFCO栄養基準)ので、ハリネズミもそうかもしれません。でも一方で、毎日のごはん、ドライフードに配合されているビタミン成分は空気に触れれば触れるだけ減っていきます。そこで今回は、飲み水に垂らして与えるビタミン剤「ウルトラバイト マルチビタミン リキッドタイプ」を紹介します。
目次
フード選びの基礎知識は別記事で
大切なハリちゃんのためにどんなフードを選ぶべきか、基礎的な情報を別記事にまとめています。よろしければご覧ください。
ハリネズミのフード選び3つのポイントビタミンはなぜ必要か
ご存じの方も多いかもしれませんが、ビタミンについて簡単にまとめておきます。
ビタミンには、脂肪と一緒に吸収される脂溶性ビタミンと、水分で吸収される水溶性ビタミンがあります。
脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため過剰摂取のリスクがある一方、水溶性ビタミン蓄積されず余剰分は体外排出されるので、毎日食事から補給する必要があります。
また、ビタミンの一部は動物の体内で合成できるものもありますが、これは同じ哺乳類でも動物種によってかなり異なります。例えば、人間やモルモットはビタミンCを生合成できませんが、ワンちゃん、ニャンちゃんはグルコースからビタミンCを生合成できます。また、人間とワンちゃんはカロテンからビタミンAを生成できますが、ニャンちゃんはできません。
脂溶性ビタミン(A、D、E、K)
ワンニャンの場合、脂溶性ビタミン4種類のうちA、D、Eはカロリーベースで人間の1.5~3倍ほど必要になります(AAFCO基準)。
ビタミンAは視覚・粘膜・成長・骨代謝の維持などに必要です。過剰摂取すると、食欲不振、体重減少、骨形成不全、免疫力低下を招きます。
ビタミンDはカルシウムとリンの吸収促進や骨・歯の成長促進、副甲状腺機能維持などに必要です。過剰摂取すると、組織にカルシウムが沈着してしまいます。ちなみにビタミンD3の「3」は動物性形態を表していますが、ビタミンB1やB6のような機能面での分類ではないので、D3=ビタミンDと考えて問題ありません。
ビタミンEは細胞膜構造や生殖腺・筋肉・神経系機能の維持に必要で、抗酸化作用もあります。過剰摂取すると血液凝固不良が起こります。
ビタミンKは主に血液凝固作用に必要ですが、通常は不足するビタミンではないとのことで、今回紹介している「ウルトラバイト マルチビタミン リキッド」にも配合されていません。また、天然のビタミンKは過剰摂取しても毒性はないとのことです。
水溶性ビタミン
脂溶性ビタミン4種以外は全部水溶性です。ワンちゃんの場合、B1・B6・ナイアシンについては人間よりも少なめでOKですが、その他はワンニャン共、全般的に人間よりも多く必要としています。
水溶性ビタミンのうち、B1・B6・パントテン酸・葉酸・ビオチン・コリンは糖・アミノ酸・脂肪・脂肪酸といった栄養素の代謝に深く関わっています。
より詳しく知りたい方は、ロイヤルカナンのホームページが参考になります。
参考 ビタミン|犬と猫の栄養成分辞典ロイヤルカナン ジャポン合同会社
ビタミン剤の添加は必要か
続いて、ハリネズミにビタミン剤は必要かどうかという、根本的なところを考えてみます。ハリネズミの飼育では基本的に袋入りのドライフードを買って、それを少しずつ食べてもらいます。小さいパッケージでは200gから、大きいものだと1.2kgの製品もあります。ドライフードはどの製品もビタミン類が配合されていますが、実際のところドライフードというのは、製造直後から栄養成分の有効性が減衰していくのが宿命で、開封後はさらに成分が減っていきます。
ペットフード協会のホームページにもこのような説明があります。
参考 ペットフードと添加物一般社団法人ペットフード協会 この一文は酸化防止剤についての説明の一部ですが、酸化防止剤があろうとなかろうと、空気に触れる機会があれば酸化は進むわけです。また、総合栄養食には、必要とされる微量のビタミン類が多く含まれていますが、これらは酸化がはじまると有効性が薄れてしまい、保証された栄養バランスを維持することが困難になる場合があります。
そのため、フードはなるべく空気に触れないように保存し、早めに使い切ることが大切です。「早めに」とはどのくらいでしょう? 実際、各社フードのパッケージには具体的な数字が書いてありません。参考までにロイヤルカナンのホームページには、
最後までおいしく食べるには、1~1.5ヵ月程度で食べきれるパッケージサイズを、お買い求めいただくことをおすすめします。
とあります。
参考 フードの賞味期限は開封後どれくらいですか?ロイヤルカナン ジャポン合同会社
というわけで、基本的にはなるべく早めに使い切るようにするのですが、ここで保険としてビタミン剤を併用するという選択肢もあるよ、という流れになります。
もうひとつ、おそらくヨツユビハリネズミに必要なビタミン量はきっちりとわかっていない、という視点があります。ペット歴の浅さ、飼育人口の少なさを考えると致し方ないことで、ハリネズミフードの各メーカーも、ワンニャンやモルモットなど、他の研究が進んでいるペットの情報から推定して必要量を算出しているのではないかと思います。
そうなってくると、やはり脂溶性ビタミンの過剰摂取にならない範囲内でビタミンを添加しておくのが無難だと思います。
「ウルトラバイト マルチビタミン リキッドタイプ」のメリットデメリット
参考 ウルトラバイト マルチビタミン リキッドタイプスペクトラム ブランズ ジャパン 株式会社
今回紹介する「ウルトラバイト マルチビタミン リキッド」にはメリットとデメリットがあります。
メリットは水溶性ビタミンの摂取頻度を上げられることです。飼育されているハリネズミは食餌が1日1〜2回と少ないですが、給水時にも水溶性ビタミンを補えうことで、体内のビタミンバランスは安定するでしょう。
デメリットは2つ。
まずは保存料(安息香酸ナトリウム)が入っていることです。ドライフードに配合されたビタミンと比較すると劣化しにくくなっていますが、安息香酸ナトリウムはアスコルビン酸と共に摂取すると反応して有害であるという情報もあるため、その点を無視できない方もいるでしょう。
もうひとつは先述の通り、脂溶性ビタミンの摂取過多となる危険性がある、ということです。
デメリットを避けてメリットを活かすには、なるべく少量を補助的に使うといいでしょう。
原材料
精製水、乳化剤(ポリソルベート80)、製造用剤(グリセロール)、ビタミン類(ナイアシン、A、C、B2、B6、B1、E、D3)、保存料(安息香酸Na)
ビタミン添加量(1本120mlあたり)
ビタミンA 300,000IU
ビタミンD3 30,000IU
ビタミンE 40IU
ビタミンB1 72mg
ビタミンB2 76mg
ビタミンB6 76mg
ビタミンC 144mg
ナイアシン 480mg
「ウルトラバイト マルチビタミン リキッドタイプ」の与え方
ボトルのラベルに「与え方」が書かれています。
飲み水に加え、よく混ぜて与えてください。水200mlにつき/うさぎ4ml(茶さじ約1杯)/モルモット2ml(茶さじ約1/2杯)/ハムスター1ml(茶さじ約1/4杯)。
ハリネズミの場合、大きさ的にモルモットとハムスターの中間、つまり1.5ml程度かと思います。ただ、ハリんちとしては基本的にはフードに含まれているビタミン類がベースで、あくまで劣化した分を補助するという位置づけで考えているので、かなり少なめの0.3ml程度(2〜3滴)を毎朝、汲み直した飲み水に入れています。ちなみに、少しだけ「チョコラBB」のようなビタミン臭がしますが、鼻のいいハリネズミ的には特に気にならない様子です。
そこそこ液垂れする
ボトルの注ぎ口の形状のせいでしょうか、注いだあとまあまあ原液が垂れるので、毎朝ティッシュなどのお世話になります。
水を飲んでくれるか
ハリんちの子全員の飲み水にこの「ウルトラバイト マルチビタミン リキッドタイプ」を入れてみたところ、全員何も気にせず飲んでくれました。即効性のあるサプリではありませんが、健康を保つ一助になっていることを願って!
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