ハリネズミ用のフードはいろんな種類があってどれを選んだらいいか迷うと思います。ハリんちでは、これまでいろんなフードを試してきた経験から、フード選びのポイントを3つにまとめてみました。あくまでハリんちの見解で絶対ではありませんが、情報として参考にしてください。
目次
ポイント1:食いつき
まず、フード選びの3つのポイントを先に発表してしまいます。
- 食いつき
- 成分
- 原材料
いちばん大切なのはとにかく「食いつき」です。そのハリちゃんが好きなフードを見つけてあげること、これが何を置いてもいちばん大切な飼い主の役目だと思っています。
突然始まる偏食、そして病中の食欲低下
なぜ食いつきがいちばんなのでしょうか。
ハリちゃんと暮らしていると、ある日突然偏食が始まってしまったとき、病気中に体力をつけてほしいのに食べてくれないとき、本当に困るからです。特に病気になると本来の好みがより出るのか、特に気に入っているフード以外は食べなくなったりもするのです。
そういうとき飼い主は別のフードを用意して置いてみたりするわけですが、もし食べたことのないものだと、口にせず拒否反応を示すことも。ハリネズミは保守的で慎重。食べたことのないものを警戒することが多いので、そうなってしまったら打つ手がなくなり、途方に暮れます。
元気なときにいろんなフードの味を覚えてもらう
そこで、いつ来るかわからないそういう時に備えて、若くて元気なときにいろんなフードの味を覚えてもらいながら、好きなフードを何種類か見つけておきましょう。細かい成分や原材料よりもまずは食べるかどうか。これは補助食品(ミルワームやゼリー、ミルクなど)にも言えると思います。
新しいフードを食べてもらうときは、いつものフードに少し混ぜてあげるようにします。いつものフードを食べているつもりで新しいフードを警戒せずに口に入れ、好みならその味を自然に受け入れてくれます。新しいフードだけを出したら警戒して食べてくれなかったのに、混ぜて与えてみたらそのおいしさに開眼、以降大好きになるという例を何度も見ています。
もちろん、どうやっても苦手なフードもあるでしょう。その判断も若くて元気なときに混ぜて与えて観察し、好みを把握しておくことが大切です。
お試しパックを販売しています
ちなみにハリんちのネットショップでは、そうしたフードの好みの判断やいろいろなフードの味を覚えてもらうために使いやすい、小分けのフードお試しパックを販売しています。実店舗では現在販売しておらず、ネットストアのみですが、ぜひご利用ください。
ポイント2:成分
フード選びのポイント、2つめは「成分」です。
ハリネズミは小柄ですがかなり筋肉質な動物です。そのため、いちばん大切な栄養素は筋肉をつくるたんぱく質。一方で肥満から病気になりやすくなるため、脂質は控えめに。そのことから、成分表で重視すべきなのは、高タンパク低脂肪かどうかです。目安としては粗たんぱく質が30%以上、粗脂肪が15%以下といったところです。
ただ、一般的に食いつきがいいのは脂質が高いものだったりします。もし食いつきと粗脂肪のどちらを取るかを悩んだら、ポイント1の通り「食いつきを優先」で問題ないでしょう。
ビタミン・ミネラルの含有量
ハリネズミの病気として特に知られている「ふらつき症候群(WHS)」は神経系の病気ですが、そうした神経系の病気予防には、カルシウム、リン、マグネシウムなどの必須ミネラル(体内で生成できないミネラル)やビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミン(体内に蓄積されるため、特にAとDは過剰摂取での中毒に注意)が適量含まれているかが大切と言われています。
ハリちゃんは人間と暮らしている以上、野生の食性を再現することは不可能なので、栄養の偏りはサプリ的に補う必要があります。ハリネズミ用メインフードには、そうしたサプリ的側面もあります。
カルシウム/リン比について
ミネラルバランスで特に取り沙汰されるのが必須ミネラルのカルシウムとリンの関係です。
ハリネズミがカルシウムを体内に吸収・利用するためには、カルシウム:リンが1.2~1.5:1.0の割合で含まれるのが理想とされています。カルシウムもリンも骨の形成強化に欠かせない栄養素です。
乾燥ミルワームにはおおむねカルシウム:リンが1:10の割合で含まれており、相当アンバランスな状態です。過剰に体内に入ったリンは腎臓が処理して尿として排出されますが、病気などで腎臓が弱っていると血液中のリンが多くなり、血管や骨に悪影響を与える、というのがカルシウムとリンの基本的な関係です。
ただし、このカルシウムとリンの関係は特に、骨代謝を行うは虫類と両生類で注意が必要なことで、ほ乳類のハリネズミにそのまま当てはまるわけではありません。
もちろん、哺乳類でもカルシウム、リンのどちらについても過剰摂取による害はありますが、獣医さんにうかがったところ、これまでたくさんのハリネズミちゃんたちを診察してきた中で、カルシウム不足に起因する症例はほとんどなかったとのこと。
つまり臨床的な観点からは、乾燥ミルワームをおやつで与える程度で問題が発生した例はほぼなく、ハリネズミにおいてはカルシウム/リン比について神経質になる必要はなさそう、という見解でした。
むしろ、ミルワームの与えすぎは肥満になりやすいという側面があり、こちらのほうが重要かもしれません。
もちろん、過剰に反応する必要はないと思います。ミルワームをはじめとした補助食品は嗜好性が高くハリちゃんも喜んで食べます。メリハリをつけて適量を、飼い主とのコミュニケーションを取るのに活用してほしいと思います。
だから、なにはなくともまずはメインフード
ビタミン・ミネラル類のさじ加減と調整を飼い主が完ぺきにこなすのは相当難易度が高いです。そうしなくてもいいように、ハリネズミ用のメインフードがある、と考えましょう。
基本的にはどのフードもそうしたバランスをクリアして混合・ペレット化されているので、ハリちゃんの食べ物は8~9割方はメインフードで完結、残り1~2割はおやつ、がいいのではないでしょうか。
ポイント3:原材料
フード選びのポイント、3つめは「原材料」です。
ハリネズミ用フードのパッケージには、原材料が細かく何種類も列記されていることが多いですが、すべてを細かく確認・理解するのはなかなかしんどいです。
そのため、ここでは重要な1点に絞って解説します。
動物性と植物性のバランスを見る
ハリネズミは動物性たんぱく質をメインにからだをつくり、昆虫の外骨格である動物性繊維質(キチン質)を食物繊維代わりに使い、有害物質の体外排出と免疫強化をしていると言われています(定説は定まっていない部分も多いようです)。
ハリネズミは植物も食べますし、主食である昆虫が食べた植物を間接的に摂取していたりもします。ですが、原材料の上位に表示されているものが植物由来の場合、本来の食性に対して偏りが生まれることは覚えておくべきと思います。
ただし、ここが難しいところ。ハリんちでの観測範囲内では、食いつきがいいのは植物性の原材料が多いフードなのです。そのため、ハリんちでは日頃から動物性メインと植物性メインのフードを混ぜて与えていて、総量的に若干動物性が多くなるようにしています。
なお、原材料で「〜ミール」、「〜フィード」とあるものは、原料を精製、搾油、分離するなど、加工されたものに付く言葉です。特に動物性原料の「〜ミール」については、毛など食用に適さないものが混ざるなど、人間向けに製造する際には捨ててしまうものが含まれることがあります。ほとんどは単に原料を加工したという意味で捉えて良いようですが、製造過程が見えないぶん不安もあります。また、消化吸収の面では、ミール類や植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質より吸収効率が悪いとも言われています。
関連記事
ハリちゃん用のフードや補助食品はけっこうたくさんあります。ハリんちでもいろいろな製品をレビューしていますので、よろしければご覧ください。