蕾ちゃんの闘病記:良性腫瘍の切除~腎臓病由来の重度の貧血、突然のお別れ

ハリネズミの闘病記|良性腫瘍の切除、腎臓病由来の重度貧血、突然のお別れ

蕾ちゃんの闘病記:良性腫瘍の切除~腎臓病由来の重度の貧血、突然のお別れ

「ん??」と思ったのが2019年11月中旬のこと。明らかに病気と思われる症状があったわけではないけれど、なんか変?から始まった蕾ちゃん(享年2歳10カ月)の闘病記録です。

最初に違和感があったのは2019年11月中旬

「あれ?なんか食べるの遅くなった??」

蕾にちょっとした違和感を覚えたのは2019年11月中旬のことでした。朝ごはんを完食するまでのスピードがいつもより遅いと感じました。でも気のせいかな?とも思えるくらいのものだったんです。

ハリんちはヤギさんと私(ムク)の2人でハリちゃんたちのお世話をしていますが、朝は私、夜はヤギさんが自宅のハリちゃんたちにごはんをあげています。そのヤギさんからも

蕾の完食スピードが遅いので、もしかしたら歯周病とか口のトラブルかもしれない

ヤギさん

と言われました。その時、「ああ、やっぱり!」と思ったことを覚えています。

この時点では食べる量は減っておらず、水分摂取量、うんち、運動などはいつもと変わらなかったので、少し様子を見ることにしました。

気になったので2週間後に動物病院へ

様子を見ていた期間は完食したり少し残したりまちまちでした。ずっともやもや気になっていたので2週間経った12月初めに受診することに。


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12月初め、病院に行く前の蕾。いつもどおり元気そうに見えます。通院用のキャリーは虫かご。空気穴があること、様子がわかること、掃除がラクなことがポイントです

気持ち的に病院を変えてみた

ちょうど11月に健太郎くん(享年3歳1カ月)を亡くしたばかりで病院をかえたい気持ちもあり、これまでとは違う病院を受診。正直、症状らしきものは特になかったので、どう説明してしていいか迷いましたが、食べるスピードが遅くなったこと、食べる量も日によって違うこと、そのほかはいつもと変わらないということを話しました。

先生からは

獣医さん

触診と体重の様子では今のところ大丈夫。背中の針が少ないのが気になるので、念のためノミやマダニ用の薬をやっておきましょう
と、その場で背中に垂らす薬を使い、あとは夜に内服薬を1回飲ませればいいと言われました。また、

獣医さん

食べているなら口の中や歯は大丈夫だと思う、鎮静麻酔をかけてまで診る段階ではないと思うので、食欲減退が見られたら再受診してください。女の子は子宮の病気が多く、その場合はほぼ悪性だけれど、血尿がないならそれも今は大丈夫
という診断でした。

受診後も改善する気配なし

しかし、その後もごはんを残すことが多く、受診1週間後の夜にはまったく食べないように。この間、回し車は使ったり使わなかったりでしたが、明らかにいつもとは様子が違ってきました。

12月中旬、以前からお世話になっている病院へ

前回、先生の説明にどこか納得できないところがあったので、12月中旬、それまでお世話になっていた病院で改めて診てもらうことにしました。この時の蕾の体重は328gでした。

一度違う病院で診てもらっていることを正直に伝え、これまでの状況を説明すると、鎮静麻酔をかけて口の中のレントゲンを撮り細胞診をすることに。結果は

獣医さん

上顎、歯茎のいちばん奥に腫れがある。悪性腫瘍だと骨が細くなったり溶けていったりするけれど、レントゲンで診ても骨も歯もしっかりしているのと、細胞診でも悪性のものではない
というのでひとます薬で様子を見ることになりました。また、

獣医さん

食べないのは口の中の違和感と多少の痛みがあるからだと思うので、食欲が戻るなら少し薬を続けてみる。違和感や痛みが気にならなくなったら食欲は戻るはず。腫瘍がなくなることはないので、食欲が戻らないなら外科的処置でとることになる
という診断でした。
麻酔をかけてハリネズミの口の中を見ている様子
麻酔をかけて口の中を見ている様子の画像

話しやすさでこちらの先生にお世話になることに

最初に行った病院の先生を再度受診したとしても、今回は麻酔を使用したかもしれませんが、話しやすく質問もしやすかったこちらの先生に診ていただくことに決めました。

年末年始、投薬治療で様子を見る

抗生剤(消化管運動促進剤入り)と消炎鎮痛剤のシロップを処方されましたが、蕾の(人慣れしていない)性格的にシリンジから薬をあげることはなかなか難しいので、朝と夜のごはんに垂らしてあげることに。

ただ、ごはんを食べてくれないことには薬も飲めていないことになるので、どうか食べてくれるようにと毎食祈りながらごはんを用意していました。

少しずつ食べるようになってきた

受診から2週間、だんだん食べるようになり、量も増え食べる勢いも出てきて、このままよくなってほしいと願っていました。


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12月24日、少し残しましたがこの日は食べてくれました。これまではフードは4~5種類ブレンドしたものでしたがこのころは比較的よく食べてくれる2種類のみを出していました

12月27日に再度受診

年内最後の受診は12月27日、体重は321gであまり変わらず。先生は

獣医さん

体重も減ってないのである程度食べられているし、ガッツキが出てきたなら痛みも減っていると思うので、このまま投薬を続けて、年明け薬がなくなるタイミングで診て外科的処置をするかどうか決めましょう
と、前回と同じシロップ薬を処方されました。

だんだん水も飲むようになり、ごはんも完食する日が続いていました。

1月中旬からまた食べなくなってしまった

年末には少し上向いたと喜んでいたのもつかの間、年が明けて1月中旬ごろからまた食べなくなってしまいました。


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1月18日、このころになるとあまり食べないという日が続いていました。この日も少しだけ食べて砂場に行き、その後ハウスに帰りました

ハリネズミの餌皿
1月21日、何か食べないかとヤギさんがフードを種類ごとにわけてくれた皿。ほとんど食べなかったようです

年明けに受診、3日後に手術

年明け初の受診が1月23日。また食べなくなってきたことを先生に伝えると

獣医さん

患部が大きくなって食べにくくなったのかどうか、口の中を診てみないわからない。いよいよ手術で患部をとったほうがいいかもしれない
とのこと。ただあまりごはんを食べていなかったため手術の前に点滴で少し状態をよくしておきたいということで、この日と翌日点滴をして1月26日に手術することが決まりました。

手術して意外な病状が判明

手術当日、午前中に病院に行き、診察。蕾を預けて私は帰宅。夕方5時にはお迎えできるということでした。夕方4時過ぎに先生から電話をいただきました。

獣医さん

腫瘍は直径1㎝未満で切除して手術自体は無事に済みました。また腫瘍ができることがあるかもしれないが、しばらくは大丈夫。それよりも血液検査の結果、腎臓と赤血球の数値が悪く、重度の貧血がある。こちらがかなり深刻な状態。免疫低下も見られるので回復するのにも時間がかかるかもしれない
と言われ、呆然としました。腎臓の病気はハリちゃんにもよく見られるそうですが、かなり悪くならないと症状が出ないので気づきにくいともおっしゃっていました。

ハリネズミの手術日程予約書
ハリネズミの血液・生体検査の結果
手術日程予約書と、血液・生体検査の結果

ハリネズミの体重測定。306g
1月22日の体重は306g。以後は病院で診察前に体重を量ってていたので家では量りませんでした

週3回の点滴通院が始まる

1月27日、術後の様子を診てもらうために通院。腎臓の数値をよくしていきたいということで猫用の腎臓食(ツナ缶)をもらいました。
これをごはんの時に小さじ半分くらい毎食食べさせ、1日おきに点滴を受けに通院することを指示されました。この間飲み薬は胃腸薬のみ。

腎臓食を食べてくれない

この腎臓食を食べてくれることを期待しましたが、蕾は食に関しては頑固だったので、嫌がって口にしてくれませんでした。

猫用の腎臓食「k/d 腎臓ケア ツナ缶」(ヒルズ)
猫用の腎臓食「k/d 腎臓ケア ツナ缶」(ヒルズ)の中身。茶色のペースト状
猫用の腎臓食のツナ味の缶詰。中は茶色のペースト状

1/29の通院でシリンジによる給餌方法を教わる

29日、通院。あまり食べてくれないことを先生に話すと、食事のフォローをしますということで、看護師さんが腎臓食をシリンジから食べてもらう方法をやって見せてくれました。この方法で朝と夜の2回やることに。

31日、この日も通院。蕾の様子は特に変化がありませんでした。

2月2日、通院。体重は264g、体重は減るもごはんのにおいがするとハウスから出てくるようになって食欲が出てきた様子。水もしっかり飲んでくれました。翌日と翌々日もごはん完食、水も飲めていました。いい調子です。

5日、通院。体重は261g。先生から

獣医さん

食べるようになってきたようなので点滴を週2回にしてみましょう
とうれしい言葉をいただきました。


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2月7日の食べる様子。うれしいことにガッツいてます

2/9、最期の通院

9日、通院、体重は275g。ごはんは完食してくれるけれど腎臓食を食べないことを相談すると

獣医さん

点滴で腎臓と貧血の薬を入れるので、食べたい気持ちを優先しましょう
と腎臓食はあげなくていいということに。食べたくないのを身体のためとはいえ無理やり食べさせていることが申し訳ない気持ちだったので、正直ホッとしました。
ごめんね、おいしくないよね

ムクさん

と言いながらシリンジをぐっと押すことをもうしなくていいと思ったら、心の底からよかった!と思いました。またこの時は、

獣医さん

調子がよくなってきたようで僕もうれしいです。体重が300gになったら血液検査をして数値を診るのでこの調子でがんばりましょう
と先生からこれまたうれしい言葉が。快方に向かっているのだと少し気持ちが軽くなりました。そして点滴の間、いつものように待合室で待っていました。

突然のお別れ

待合室で待っていると、ほどなくして看護師さんに名前を呼ばれ「2階にどうぞ」と。こんなことはなかったので何かあったんだとピンときました。処置室に案内されると先生から

獣医さん

点滴中に吐血して意識が戻らず危ない状態です
と。看護師さん1人と先生2人が蕾を囲んでいました。看護師さんは機械を見ていて、担当の先生は心臓マッサージ、もう1人は口に酸素の管を。

蕾を見ると吐血のため口の周りと胸の白い毛が赤くなっていました。口には酸素の細い管が入れられ、蕾の目は開いたままでした。担当の先生が何度も

獣医さん

意識もどりません。難しいかもしれません
と言いながら小さい身体を指で心臓マッサージしていました。15分もしたころに

獣医さん

難しいです。意識戻りません
という言葉を聞いたとき、これはもうダメってことなんだとやっと気づき、
楽にしてあげてください

ムクさん

と言いました。先生はすぐ

獣医さん

身体をきれいにしてからお返しします
と言ってくださったので、まずヤギさんに蕾が亡くなったことを連絡し、待合室に戻りました。
お会計をし、蕾が戻ってきたとき、白いお花が添えられていました。白い花は嫌だなとゴミ箱に捨ててきました
※ 今思うと、人が亡くなった時には白い菊の花が仏花として飾られますが、白い花を見て亡くなったことを受け入れたくなかったんだと思います

選択した治療に後悔はない

11月に亡くなった健太郎くん(享年3歳1カ月)のときは、そう長くはないかもしれないと感じていたからか、悲しみや喪失感はあったけれど思ったほど長くは引きずりませんでした。

しかし、今回はつい5分前まで一緒にいて、元気になってきたと思った矢先のことだったので、しばらく心にぽっかり穴があいたようになりました。

私にとって健ちゃんは2匹目、蕾は3匹目のハリちゃんでした。心臓マッサージをしてもらっている時の蕾の顔がいまでも目に焼き付いています。

のちに先生に伺ったところ、

獣医さん

小さい身体だから点滴の際も慎重に針を入れるのだけれど、本人がその拍子に力んだり身体を動かしたりして、変なこところに針が入ってしまうこともある。今回は何かのショックで吐血したのかどうか先生方と協議したけれど、判断がつかなかった
とのことでした。

荼毘にふしたあと、しばらくして病院からお花が送られてきました。淡い色のお花だったので、しばらく蕾のそばに飾らせていただきました
※ 女の子だから色があるお花を飾ってあげたかったんです
鎮静麻酔、点滴、手術という治療を選択したことにはまったく後悔はありません。必要があるのなら今後もそうしよう思います。ただ、その際はリスクがあるということは認識しておかなければいけないと今回のことで学びました。

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