ハリネズミ女子の子宮卵巣摘出手術

ハリんちで3回の出産を経験し、7名の子を育てたベテランママ、姫ちゃん。2歳8カ月のある朝、うんちに血が混じっているのがわかり、検査を経て子宮卵巣摘出手術を受けました。この記事では、血便の発見から検査、手術、術後の抜糸までの様子をまとめました。

2歳以降に多い子宮疾患
姫ちゃんの子宮摘出手術まとめ
血の発見〜手術の準備
- エコー検査で子宮の肥大を確認
手術〜抜糸
- 傷口に異変もなく順調に推移
- 抜糸と病理検査の結果
摘出後の生活
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2歳以降に多い子宮疾患

ハリネズミの子宮疾患の多くは腫瘍で、子宮が大きくなって出血してきます。出産経験の有無を問わず2歳以降で比較的多く発生する、「ハリネズミがかかりやすい病気」のひとつです。ハリんちでは、これまで4名が子宮卵巣を摘出していて、発生率（全女子中の罹患率）は執筆時現在で50〜60％といったところです。

一般論として、子宮卵巣摘出手術の手術難易度は比較的低めで、患者への負担も低めです。これは子宮と卵巣がお腹の手前に独立して出ていて、切開幅も最低限で済むためです。手術自体10〜20分程度で終わりますし、体力に問題がない子であれば日帰りできます。

ですから、獣医さんから子宮摘出が必要と告げられショックを受けているハリ飼いさん、落ち着いて、あまり心配せずに手術に備えてほしいと思います。

ハリネズミの子宮と卵巣

ここでハリネズミの子宮がどのような形になっているか、簡単に紹介しておきます。
子宮は双角子宮と呼ばれる、真ん中から左右に分かれた形をしていて、言ってみれば赤ちゃんの部屋がふたつある状態です。各部屋は羊の角のように半円状に湾曲していて、卵巣は各部屋に抱きかかえられるように存在します。

異変発見から手術、抜糸までの基本的な流れ

では、子宮の異変発見から手術、術後の抜糸という基本的な流れを書き出しておきます。

尿に血が混じっているのを見つけ動物病院へ
エコー（超音波）検査で子宮の肥大を確認
7〜10日間、投薬で消炎と止血を行い手術に備える
鎮静麻酔をかけて手術。子宮と卵巣を摘出し縫合。摘出物は病理検査へ。費用は検査・手術・病理検査で10万円程度が目安
麻酔から覚めて様子を確認。調子が悪そうな場合は数日入院、問題なければすぐ退院
約2週間、抗菌薬で傷口の感染予防をしながら傷口が閉じるのを待つ
傷口の状態確認と抜糸、病理検査の結果ヒアリングで通院終了
術後の生活では、エストロゲン消失による過食（肥満）に注意

なお、三輪恭嗣先生が獣医師さん向けに上梓した『エキゾチック診療 Vol.17 ハリネズミとフクロモモンガの診療』（学窓社、2017）には、子宮摘出手術の具体的な手順（写真付き14ステップで4ページ分）が掲載されています。

手術では、子宮と卵巣を牽引してお腹の外に出し、膣部から切断します。術後、傷口が開いたらどうしようとハラハラするかと思いますが、縫合は内側から膣断端部、腹壁、皮下、皮膚と4回行われているので、暴れ回りさえしなければ大丈夫そうです。

早期発見が重要

子宮肥大、腫瘍化の初期症状は血尿だけで、食欲や活動性には変化がありません。そのため、発見が遅れてしまうこともあります。発見が遅れると子宮肥大が進行していき、他の臓器を圧迫してハリちゃんも痛みが出てきますので、早期発見が重要です。

そこで、ハリネズミ女子が2歳を過ぎたら、次のような対策をオススメします。

床材には白い素材を選ぶ
砂場にしたおしっこは白い紙で押さえて血尿がないかチェック

床材については、ハリんちでは2歳以降の女子は全員白のペットシーツを使っています（シャトルマルチ70には33×45cmのレギュラー、広いスペースには60×90cmのスーパーワイド）。

「ペットシーツをかじる、食べる」というトラブルをよく耳にしますが、うちではこの製品でそういうトラブルが起こったことはありません。

ペットシーツが合わない場合は、白い紙の床材も異変が発見しやすくて良いと思います。オススメは、ホコリが全然出ないクリーンモフ KAMIYUKAのホワイトです。